#033-2 じゃれ本 作品集

短編小説を作るというゲームのじゃれ本。
ゲームのレビューはこちら

うちのゲーム会で出来た作品の中から、公開可能なものを上げていきます。

とにかく最高なゲームなので、広めていきたいんです。w

群がるチョコレート






1.
「今日も疲れたな。。。」
毎日のオフィスワークを終え、今日も帰路についた。
今にも倒れそうな眠気とたたかい、

2.
目の前に積まれた5円チョコに気づく。
一体誰が!?
今日は5月5日であって、バレンタインデーではないのに。

3.
あたりを見回すが人影はない。
ドアに駆け寄る。
施錠を確認。
窓にも異常はない。
完全な密室なのに、

4.
何かがいる気配がする。
背中のあたりがぞわぞわして今すぐ飛び出したいけどそうもいかない。
今日は宿直の日なのだ。

5.
一度つばを飲み込んだ。
その時、「ぴちょん。」
何かが垂れる音がした。
そして、周囲にたちこめる甘い香り。
これは

6.
まさか。。。
今、世間で話題の「群がるチョコレート!?」
確かに甘い香りはする、色も黒い。
しかしその実態はといえ

7.
ば、とてもチョコレートには見えない。
おそるおそる口に含む。
・・・・・・辛い!
”群がるチョコレート”は辛いの

8.
か。
衝撃を受けたが、不思議な魅力がある味だ。
一つまた一つと口に含むごとに、
男はチョコレートに変化した。

人をだめにする犬小屋





1.
それは駅の雑踏の中にあった。
引っ越してきた日から気になっていた。
人々はその横を素通りするばかりであった。

2.
でも僕は違った。
それを、拾ってみた。
 がさごそ動いていた。
 だが、僕は怖気付かなかった。 心して、開けた。

3.
 「何だろう?」 暗がりの中、よく見えないので触った。
湿っていた。 何故だ。
想像しても分からないので引っ張り出すと

4.
それは...... 猫だった。
猫はにゃあと一鳴きすると暗闇に溶けて消えた。
残ったのは、ただの静寂。 世界に自分だ

5.
けがいるような気分になるが、そこはやはりいつもの駅だ。
もしかすると溶けることができるのか。
私は意を決

6.
して力を抜いてみた。
脳がじわりと暖かくなってきて、体の感覚が薄れてくる。
 「私は溶けているのだ。」

7.
何処か懐かしい感覚に襲われながら、
自我という存在は何なのかさえ考えることすらどうでもよくなってしま

8.
う。
私の意識は遊離し、じっとりと犬小屋に溶けた。
あとに残ったのは、犬小屋だけ。
そして世界は終了した。

いねむりトランプ






1.
前日に夜更かしをしたトランプ氏は、眠かった。
太陽がさんさんと降り注ぐ大統領執務室で、手元のJOKER

2.
を口に入れる。
まあまあの味と言ったところだ。
そうこうするうちに自然とまぶたが落ちてくる。
と、そこにお

3.
おがらな男が突然とびらを開けて入ってきた。
あぶないあぶない。
もう少しで熟睡しているところだった。
「おいお前、

4.
Jackだな?」
男は言った。
見張り中に寝ているのがばれたら、
と思うと身体が震えた。
時刻は深夜2時をまわ

5.
ったところだった。
この震えは寒さから来るものだろうか?
しかし今は夏である。
TVでは熱帯夜の連続記録が

6.
日々更新されており、
ついに昨夜は256℃ということであった。
トランプ氏はうんざりして手元の水を飲み干した。

7.
「私がいねむりをしている間に世界がとんでもないことになってしまった。
この地球はもうダメだ。捨てよう。」

8.
トランプに捨てられたとんでもないこの世界。
が、10年後に現れる花札に救われるのは、また次のはなし。。。
つづく



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